博士への長い道TM
- 東京大学 計数工学専攻 (課程博士) の場合 (2002 年度版)
言うまでもないかも知れませんが,ここのパクリ
であります.
この文書は,
東京大学 大学院工学系研究科 計数工学専攻 の博士課程を,
2003 年 3 月に修了するケースについて記述したものです.
で,計数工学専攻というのは既に消滅してしまったので
(注: 大学院ではなく工学部の方の計数工学科は現存します),
この情報が直接的に役に立つ人はいないのかも知れません.
でもまあ,後身である
大学院情報理工学系研究科 システム情報学専攻 / 数理情報学専攻
もだいたい似たような感じになるのではないかとは思いますけど.
いずれにせよ,内容が無保証であるのは言うまでもありません.
大雑把に書くと,3月修了の場合,
- 9月中旬に「今年度 D論出すか出さないか」の書類を提出
(書類自体は指導教官宛に送られて来る).
このとき一緒に題目(仮)と査読委員候補を提出.
- 11月上旬〜中旬に予備審査.
標準的にはその 1 週間程度前に,各先生に論文を渡しに行く.
(一般には,この予備審査が最大の難関だと言われる)
- 12月中旬に,教務室へのオフィシャルな論文提出期限がある.
いくつかの手続き書類等も一緒に出す.
(なお,この論文はそのまま手つかずで戻って来る.意味あるのか?)
- 1月中旬〜下旬に本審査.
標準的にはその 1 週間程度前に,各先生に論文を渡しに行く.
- 1月末に要旨などを含む手続き書類の〆切がある.
- 2月中旬に製本用の論文原稿の〆切がある.これが最終稿.
- 同じ頃の専攻会議で,審査結果の報告がある.
(指導教官が報告するものなので,原則として本人には関係ないが,
資料の準備を指示される場合もあるだろう)
- 3月中旬の研究科委員会にて学位の授否が決定.
(原則として本人には関係ない)
- 3月末に学位授与.
といった流れになるようです.以下,詳細に見て行きましょう.
Thu Sep 19, 2002
- 指導教官 I 先生から居室に電話.
題目と副査の決定が「明日〆切」らしい.のわー.
とりあえず明日の夕方打合せすることになる.
Fri Sep 20, 2002
- というわけで夕方,指導教官 I 先生の部屋で,
論文題目と副査をお願いする先生について打合せ.
で,用紙を見ると,「9月20日(金)正午 <厳守>」とか書いてて,
過ぎてるんですけど.
で,さんざん議論した結果,
「ソフトウェア制御による適応性を有する実時間センサ情報処理システムの研究」
で,副査は,A 先生(他専攻),T 先生,N 先生,H 先生,ということで合意.
主査は自動的に指導教官になる.
- 副査は,
他専攻(または他研究科)の先生はいた方がいいらしい.
他大学の先生は,いてもいいけど,いると手続きが面倒くさいらしい.
人数は…,あれ? どうなんだろう.主査含めて 5 人以上いればいいのかな?
Fri Oct 4, 2002
-
学位論文のスタイルファイルを取って来て,ちょっといじってみる.
つまり本論文を書き始めたのがこの日ということになる.
表紙とかはそのままでは使えないので,適当に手を入れる.
Mon Oct 7, 2002
- 10/4 付の書類として,ピンクの紙が届く.
「平成14年度博士課程修了予定者の博士論文予備審査日程」.
というわけで,予備審査は 11/6(水) 15:00〜 に決定.
説明 50 分.質疑 20 分.
「論文は出来る限り早めに審査委員の先生方に届けるようにして下さい」
とか書いてるんだけど,具体的にいつが deadline かは明記されていない.
10 分前とかに届けてみるテスト,
とかやる勇気もないので,周りに聞いてみると,
だいたい予備審査の一週間前ということになっているらしい.
〆切が明確化されていないと仕事ができないダメ人間としては,
こういうのはとても困る(ぉ
- ちなみに,この後も何度か「ピンクの紙」が届くのだが,
このピンクってのは「計数工学専攻の色」として定められているものらしい.
Tue Oct 8, 2002
- 査読待ちの論文の状況について,学会に問い合わせてみる.
査読が遅れているらしい.
次の編集委員会は 11/8 なのでそれまでお預け.
てことは予備審査までに結果が出ることはないと,そういうことだ.
Mon Oct 14, 2002
- 10/12〜10/14 の三連休を,序論を書くだけで使い切ってしまい,
焦燥する.うーむ,こんなに書けないとは.
Sat Oct 19, 2002
- 研究室の内輪ミーティング at 何故かつくば.
D論の全貌が研究室メンバー(先生を含む)に初めて明らかになる.
- やはり最後の章だけ浮いている感があるという指摘を頂くが,
まあ本当に浮いているので仕方ないかなというか,
今から軌道修正するのはどう考えても無理なので,
このまま行っちゃえという感じ.
Tue Oct 22, 2002
- あまり学位とは直接関係ないんだけど,冬学期の履修登録最終日.
一応足りているはずなんだが,保険のため,今学期に開講している科目を手当
たり次第に登録しておく.
- ちなみに「足りているはず」という計算の根拠だが,
博士課程の修了に必要な単位数は,
東京大学大学院工学系研究科規則 第3条の2 により,20 単位.
そのうち 12 単位が必修科目
(計数工学特別輪講,
計数工学特別実験及び演習 I,
計数工学特別実験及び演習 II,各 4 単位)
になるので,
選択科目は 8 単位を取ればよい計算になる.
D2 までに 3 科目(各 2 単位)を取っているので,
残りは 2 単位.
ここで
同規則 第7条 によれば
「博士後期課程においては,指導教官の許可を得て,
次の各号に掲げる科目を履修し,
これを博士後期課程の単位とすることができる」とあり,
その中に
「(2) 修士課程で修得した超過単位数のうち 10 単位以内」
とある.
修士課程では 32 単位取っていて,修士課程の修了要件は,
東京大学大学院学則 第5条により 30 単位なので,2 単位超過している.
これを使えば,20 単位に達する,はずである.
単位移行手続きは,修了間際にあるはずなので注意.
Wed Oct 30, 2002
- 予備審査一週間前なので,各先生方に論文原稿を持って行く.
- 一応あらかじめ見せておいた方がよいらしいので,
昼食時を狙って指導教官 I 先生の部屋に押しかけて論文を見せる.
ぱらぱらとめくって,
「あー,僕この後半の話って理解してないけど,どうしようか?」
とかいうので,20 秒くらいを費やして説明する(激ぉ.
とりあえず配ってよしとの許可を頂く.
「まあ課程博士の審査ってのはいろいろ文句言われるようになってるから,
そのつもりで頑張れ」
とありがたいのかよく分からないアドバイスを頂く.
- どういう形で持って行けばよいのかは特に指定されていないのだが,
2 穴バインダに綴じて渡すことにした.
副査 A 先生,T 先生,N 先生の分には一応カバーレターをつけて,
封筒にいれて,
(別キャンパスの) N 先生には学内便で郵送
(念のため,送付した旨をメールで伝える).
T 先生と A 先生の分は直接持参する.
どちらも不在なので秘書さんに渡す.
指導教官 I 先生と,副査 H 先生(同じ研究室)の分は,
まあいいかな,ということで地球にやさしく無包装で渡す.
- 1 部をプリンタ出力して,
あとはコピーでいいかな,とか思ってたけど,
特に画像を載せているところの画質が,
目に見えて悪化していてお話にならないので,
結局すべて直接プリントアウトする.
私の D 論には,イメージセンサの出力を比べて
「ほーら提案手法だとこんなに画像がきれいになるでしょ?」
って言ってる部分があって,
きれいに印刷されないとわけわからなかったりするのだ.
- ちなみに現状で 103 ページ.
昨日の段階で一通り書き上げて 98 ページだったので,
うーん惜しい,とか思って,
よーし章ごとに \cleardoublepage しちゃうぞー,
とかやったのは秘密.
Mon Nov 4, 2002
- 副査 H 先生からのコメントがメールで届く.
かなり恥ずかしい(数学の)誤りが指摘されていたりして焦る.
コメントではこの誤りは「タイポ?」と聞かれていたので,
いや恐ろしいことに本当に間違えてましたと答えると,
速攻で返事が返って来る.
「ワハハ.恐ろしいですね.もう一年頑張りますか.」(原文ママ)
も う だ め ぽ.
- 学内便で原稿をお送りした副査 N 先生から,
論文を受け取ったというメールを頂く.
あれー,学内便ってこんなに時間かかりますか?
といっても祝日に届くはずないから,金曜に届いたということか.
周りに聞いてみると,
学内便って配送にムラがあるので,
急いでいるときは使わない方がいいらしい.
Tue Nov 5, 2002
- 予備審査前日.
- スライドを作る.70 枚くらいになってしまったが,
50 分で話し終われそうにないので,62 枚まで減らす.これでも無理かも.
- ピンクの紙に「説明用プリントを用意すること」とあるので,
6 スライド/ページの配布資料両面刷りを人数分作る.
自分の分,先生の分(x 5) + 2 くらい.
- 午後 8 時過ぎに指導教官 I 先生からメールがあって,
「明日の確認ですが、14:30からなので、間違えないようにしてください.」
(原文ママ)
確認ですがって,そんなこと聞いてませんよ? あわてて電話する.
「これって変更になったんですか?」
「あれ? Cc 送らなかったっけ?」
「来てませんよ?」
「あー,じゃあ忘れてた.ごめんごめん」
- 話はさらに予期せぬ展開へ.
「あー,あと僕その前に記者会見があるんだわ.
というわけでそっちが延びたら,審査遅れていくから」
「あ,え? え,えーと,主査いなくて手続き的には問題ないんですか?」
「うん,ないよ.ないだろう…,ないと,思うよ」
「はあ…」
「だってほら,記者会見の方が大事だし」
まあ要するに,そんなもんらしい.
Wed Nov 6, 2002
- 予備審査当日.
- 15 分ほど前に中会議室へ.教務室 Y さんが準備をして下さっている.
「いやーついにこの日が来てしまいましたね」とか言われる.ひと仕切り雑談.
「じゃあ終わったら声かけて下さい」
- 部屋にはプロジェクタとスクリーンが用意してあって,
入口近くの席に,
出席者用の記名簿と予鈴・本鈴用のベル(使われなかったが)が置いてある.
査読委員の先生以外でも(学生でも),
守秘義務に同意してサインすれば参加してよい,という仕組みらしい.
誰も来ませんでしたが.
- プロジェクタの接続を確認して,まだ誰も来ないのでトイレに行く.
戻って来ると指導教官 I 先生が来ている.
記者会見は予定通りに終わったようだ.
「いやー君これ終わったあと仕事がいっぱい待ってるからね」とか言われる.
で,どういう仕事が待っているかの具体的な話をちょっとして,
審査前なのにすっかりブルーになる(ぉ.
- とかやってる間に他の先生が続々と来られる.
I 先生はこの後にまた予定がつまっているらしくて,
「時間厳守」と言われる.
- しゃべる.一応時間ぴったりくらいで終わる.
1,(2+3),4, 5, 6 章に各 10 分ずつ程度.
その後,質疑応答が 20 分程度(?).
- 質疑応答後,
「じゃあ外に出てて下さい.研究室で待ってていいよ」
と言われるので,帰る.
- 秘書さんからの電話で,I 先生から伝言,
「終わったので中会議室を片付けるように,あと,夕方ごろ来るように」
というわけで,片付けて,教務室に行って Y さんに終わりましたと伝える.
- で,研究室戻って,ドキュメント類を整理しているときに,
配布プリントを渡してないことに気づいて顎然とする.
ぐはー.そういえば,
何か皆やけに論文をぺらぺらめくって眺めているなーと思ってたのだが,
それしか見るものがないんだからそりゃそうだ.
- というわけで,20:00 頃 I 先生から審査内容が伝えられる.
もっとはっきりとした (例えば論文誌の条件付採録のときの条件のような)
条件みたいなものが告げられるのだと思ってたのだけど,
なんかそうでもなくて overall なコメントがいくつかという感じ.
あと,題目が冗長っぽいので再考した方がいいらしい.
「で,結局どうすればいいんですか?」とかざっくり聞いてみると
「まあ要するに,
二ヶ月あるんだからその分くらいの新しい結果を何か付け加えなさいよ,
ってそういうことだよ」
らしい.結局よく分からんが,
とりあえず予備審査は通ったってことでいいのかな?
Fri Nov 15, 2002
- 外部とのミーティングがあって,
次回の日程を 12/20 に,とかいう話をしていると,
I 先生が
「彼(鏡)は博士論文の提出間際になりますので,その日は私だけで…」
とか言い出したので,
「えっ? 聞いてませんよ」とかその場でうろたえてみたりするテスト.
どうもその辺りに教務への提出〆切があるらしい.
それがほんとの最終提出というわけではないらしいのだが.
Mon Nov 25, 2002
- 今後のスケジュールについて,
さっぱり情報が来なくて埓が明かないので,
同期の O 君が教務室に聞きに行ったらしい.
それによると,12/13 に教務室に論文提出.
ただし差し替えはできるらしい.
で,1/18〜1/25 に本審査,なのだそうだ.
Tue Nov 26, 2002
- 手続き書類が届く.届いたもの:
- 「平成15年3月博士課程修了予定者の博士論文に関する件」
というピンクの紙(送付元は計数工学専攻).
- 中性紙 2 枚.(表紙用)
- 「学位申請者(課程博士)のための手引き(平成14年度)」
という 6 ページの冊子(送付元は大学院工学系研究科).
- 論文目録の用紙 (A4 1枚片面)
- 履歴書の用紙 (A4 1枚片面)
- バインダー
- というわけで,ようやく手続きの全貌が明らかになった(のか?).
- ピンクの紙には今後のスケジュールが書かれている.
しかし時間順が妙に入り組んでいてわかりにくいぞ.
時間順に並べると:
| 11月下旬 | 手引きの配布 (今だ)
|
* | 12/12(木) | 論文題目・審査委員の変更 届出〆切
|
* | 12/13(金) | 論文・履歴書・論文目録 提出〆切
|
| 12/20(金) | 論文題目・審査委員報告 (工学系研究科委員長)
|
| 1/16(木) | 論文題目・審査委員決定 (工学系研究科委員会)
|
* | 1/17〜1/24 | 本審査
|
* | 1月末日 | 履歴書・論文目録以外の申請書類 提出〆切 (論文要旨だけ?)
|
* | 2/13(水) | 審査委員会報告書・審査結果要旨 提出〆切 (主査) (# 2/19から変更)
|
* | 2/14(金) | 一括製本のための提出の〆切
|
* | 2/14(金) | 論文審査の結果報告 (専攻会議) (# 2/20 から変更)
|
| 3/12(水) | 学位論文審査ならびに学位授否決定 (工学系研究科委員会)
|
という感じ.関連して本人が動く必要のありそうなものに * 印をしてある.
(12/26 に通知された日程変更を取り込んである.# で示した部分)
- では次に,提出物ごとに整理しよう:
- 論文本体: 12/13(金) に教務室へ提出.この時点ではバインダー綴じ.
本審査終了後,
訂正の完了した論文を 2/14(金) までに提出すれば,
一括製本してくれるらしい.
よくわからないのは,12/13 の後,
本審査までに差し替えが効くか否か.
表紙のフォーマットはここで初めて(作成例としてだが)指示される.
題目と名前だけを書く.
(「博士論文」とか大学名とか指導教官名とかは入れない)
- 履歴書: 12/13(金)に教務室へ提出.
所定のフォーマットを埋めるだけ.
内容はまあ別に普通.
普通免許とかそういうのを書く欄はない(自明).
- 論文目録: 12/13(金)に教務室へ提出.
名前とか題目とかを書くのはまあいいのだが,
よくわからんのが,冊数と印刷公表の方法及び時期.
- 冊数ってのは,
1 篇の論文を書いたんだから 1 篇でいいんですかね?
製本用に提出する部数のことじゃないよね?
- 印刷公表の方法及び時期の方だが,
東京大学学位規則第16条とやらに,
学位授与から 1 年以内にその論文を印刷公表しなくてはならない,
とあるらしい.
これって国会図書館に入ることで公表したことになる,
という理解でいいんでしょうかね?
で,論文目録には,既に印刷公表されているものを書くらしい.
未公表のものは予定を書くが,投稿予定のものは含まないらしい.
じゃあ投稿中はどうなるんだ,とか,
印刷公表ってどこまでを含むんだ(Proceedings は入るのか? 技術報告は?)とか,
さっぱり不明.
ちなみに,たまたま通り掛かった(ぉ) I 先生に尋ねようとしたところ,
間髪を入れずに「あー,そんなのどうでもいい」
とかいう返事が返って来たのはもちろん秘密.
- 論文要旨: 1月末日までに提出.
A4 縦で 10〜11pt,4000字以内.
印刷したものの他に,その作成ファイルと,
テキスト形式に落したもの,画像それぞれのファイルをフロッピーで提出.
これは Web に置くためだろう.
で,さらに「論文の内容の要旨の概要」という謎なものも必要らしい.
これには名前とか学位の種類とかの他に,
提出ファイルの作成アプリケーションとかを書く.
さらに,
「学位論文を独自にネットで公開する場合」でリンク希望な場合は URL を書け,
とかいうのもあって面白いといえば面白い.
ちなみに Word で出すことが要求されている.
- ついでに,バインダーが再利用なのは地球にやさしくていいのだが,
背表紙に前の人の名前と題目が入ったままなのはいかがなものかと.
Tue Dec 10, 2002
- 指導教官 I 先生から,
12/13 の提出の前に一度見せに来るように言われる.
「予備審査から 1 byte も変わってませんよ?」と言うと,
予想外に心配そうな顔をされる.
「提出後,本審査まで差し替えはできないんだよ?」
「はあ? そんなこと聞いてませんよ?」
で,小1時間(嘘)問い詰めたところ,どうやら少なくともオフィシャルには,
ということのようなのだが,
つうか 12/12 〆切の雑用があってD論どころじゃないのは秘密なんだけど.
- 予備審査で指摘された題目の件.結局変更することにした.
「適応機構を有する実時間センサ情報処理システムの研究」.
まあ別に何でもいいやって気になってきた(ぉ
Thu Dec 12, 2002
- 題目,審査委員の変更〆切.
題目を変更するので教務に行って Y さんに伝える.
特に専用のフォーマットは用意されていないので,
単に適当な紙に題目を書いて持って行っただけ.
Fri Dec 13, 2002
- というわけで結局ろくに修正せずに提出日を迎える.108 ページ.
ちなみにある章の付録が 3 ページ追加されていて,
それによって \cleardoublepage の影響で白紙ページが 1 ページ新たに発生して,
あと参考文献ページが 1 ページ増えた,という状況なので,
実質的な分量はほとんど変わっていない罠.
- というわけで提出したもの:
- 目録や履歴書には提出日を書く欄があるのだが,
書くべき日付は指示されているので注意が必要.
記入日の日付をさくっと書いたりしてはいけない.
ちなみに今年度 3 月修了の場合は,
12月16日付で提出ということになるらしい.
- さて,それで,差し替えってどういう手続きを取ればいいんですか?(ぉ
Mon Dec 16, 2002
- 本審査日程がメールでアナウンスされる.1/21(火) 17:00〜.
- 気になるのは,
「本審査用の論文は出来る限り早く審査委員の先生方へ届けるようにして下さい。」
という文面.先週提出した版の立場はどうなるんですか?
Thu Dec 26, 2002
- 何やら書類が届く.内容は
- ピンクの紙「平成15年3月博士課程修了者の博士論文に関する件(訂正版)」.
日程が微妙に変更されている.11/26 の記述にマージしておいた.
- ピンクの紙「課程博士論文の本審査について」.メールで来たのと同じ.
んで,その文中に,
「以前提出して頂いた論文はお返ししますので,
各指導教官の指示に従い本審査用の論文は,
出来る限り早く審査委員の先生方に届けるようにして下さい」とある.
- で,論文がそっくりバインダーごと返って来ている.
表紙にはんこでも押されているかと思いきや,そんなこともない.
わざわざ中性紙に印刷した意味あったのかと小1時間問い詰めたい.
Thu Jan 16, 2003
- 本審査バージョンを各先生に配る.
ていうか本当は本審査の 1 週間前が目安らしいので,
2 日ほどオーバしている.
実験結果差し替えたりとか,ついついねばってしまった.
- 配り方は予備審査のときと同じ.ちなみにどの先生も不在だった.
N 先生には,学内便だと時間がかかりそうなので,
本郷局に持って行って速達で出した.
- ちなみに分量はあまり変わり映えしない.110 ページ.
内容は結構更新されているのだが,
追加というより内容差し替えが多かったので.…まあいいんだけど.
- んで,査読中だった論文の採録通知が午後に届く.ひと安心.
Tue Jan 21, 2003
- というわけで本審査当日.17:00 開始とかなので,
朝から落ち着かなくて困る.
- 開始 10 分くらい前に指導教官 I 先生が到着.
「で,予備審査からの変更点まとめたスライドは作った?」
「は? そんなの要るんですか?」
「あー,ないならなくてもいいや」
一般論として,
予備審査での要求項目が多い場合はまとめといた方がいいらしい.
「君の場合は多くないから別にいいや」らしい.
ていうか先に言って下さい.
- で,おもむろに論文を開いて謝辞から読み始める I 先生.
「お,副査の先生の並び順が間違ってる…,ん? あ,いいのか? いいんだ.
よくできてるじゃん」
どうやら,「他専攻が先」「教授が先」が原則らしい.
「じゃあ他専攻の助教授と自専攻の教授はどっちが先か」
については「迷うところ」らしい….
ちなみにルールを分かってたわけじゃなくて,
五十音順に並べたら一致しただけだったのは秘密.
ていうか先に言って下さい.
- 発表は,予備審査同様に一通り.
diff 部分については,その都度明示する.50 分ちょうどくらい.
しゃべりは予備審査と比べて当社比 3 倍くらい下手だった.
- で,いろいろコメントをもらったのだが,最終的に,
「結論が大風呂敷すぎ」ということで満場一致する(ぉ.
いやーもちろん自覚してるんですが.そうですか.
そうですね.ていうか予備審査あたりで言って欲しかったかも.
- 質疑終了後,居室に戻る.比較的すぐに I 先生から電話で呼び出し.
大風呂敷なところの記述だけ何とかすればまあ OK.ということらしい.
- 「審査結果の要旨」の草案を作るように指示される.1 月中くらい.
過去の例文をもらう.
- 2/14 の専攻会議の審査報告は.
I 先生の都合が悪いので,副査 H 先生にお願いすることになる.
発表 OHP,原稿の作成を指示される.7 分くらい.2/14 の 2, 3 日前まで.
ちなみにこの専攻会議での審査結果報告というやつ,
結構もめることもあるらしいという噂である.
まあ落ちることはないんでしょうけど.(ないと信じたい)
Fri Jan 24, 2003
- 何やら大量の書類が届く.
- 「履歴書」「論文目録」の返却について.
訂正がある場合は,1月中に再提出しろ,らしい.
印刷公表の項目が増えるってのも訂正に入るのだろうか?
教務室で Y さんに聞いたところ,そのまま放っといていいらしい.
要するにこの書類はあくまで 12/16 付のものなので,
それ以降に発生した変更は無関係,という理解でいいのだろう.
- 氏名と生年月日の確認.
学位記に記入する氏名と生年月日に訂正がある場合は,
あるいは西暦年での記入を希望する場合は,
2/14 正午までに教務室へ.特に問題なし.
- 各証明書の交付について.
3/28 の修了時に,
デフォルトでは和文の学位授与証明書と成績証明書が 1 部ずつ配布される.
複数必要な場合や,英文のものが必要な場合は,3/7 までに手続きしなさい,
という内容.これもとりあえず不要.
- 単位の移行手続きについて.
超重要.修士課程での超過単位の移行を希望する場合は,
2/3 〜 2/12 の間に工学系研究科等教務課大学院第一掛 (列品館 1F)
に申し込みなさい,という内容.
別に何か持って来いとかは書いてないんですが,手ぶらでいいんでしょうか?
あと,「指導教官の許可を得て」とかいうのは,
申し込む前に許可を得ておいた方がいいんでしょうか?
許可って口頭でいいんでしょうか?
その辺りが激しく謎である.
Fri Jan 31, 2003
- 申請書類の提出〆切日.履歴書と論文目録に訂正はないので,
「論文の内容の要旨」を渡すだけでよし.
- 「指導教官の確認を得て」提出しろとあるので,
午前中くらいに I 先生にメールで送っておいてみる.
で,もちろんそのまま反応は来ないわけだが
(いやもちろん先生が悪いんじゃなくて,こんなぎりぎりに送る方が悪い),
気にせずに夕方頃しれっと提出することにする.
- 提出したもの:
- 鏡慎吾要旨.doc (要旨の MS Word ファイル)
- 鏡慎吾要旨.txt (上記を plain text で save したもの)
- 鏡慎吾概要.doc (要旨の概要の MS Word ファイル)
こいつらをフロッピーに入れたものと,要旨を印刷したもの 4 部(片面印刷),
概要を印刷したもの 1 部.
- でもってお約束:
Yさん「先生には見てもらってますよね?」
鏡「ええ,見てもらっています(いるところです)」(もごもご)
Yさん「そうですか,先生お忙しいのに見る時間あったんですねー」(ぼそっ)
鏡 (聞こえないふり)
- あとは,今月中が目安と言われていた
「審査結果の要旨」の草案を作成して,
I 先生の部屋に持って行く(秘書さんに預ける).A4 裏表程度.
(実はこれ,printed matter で渡してしまったのだが,
それじゃ先生が edit できないじゃん,
とかいう指摘が後から同期 O 君から入る.
はて,放っといたらどうなるかな.そのまま提出か?)
- しかし思うんですが,
論文本体の「結論」と,「論文の内容の要旨」と,
「審査結果の要旨」って,中身ほとんど一緒なんですけど,これってどうよ?(ぉ
Mon Feb 3, 2003
Tue Feb 4, 2003
- 単位移行願が先生から返って来たので,大学院掛に出しに行く.
日付は提出日のものでよいらしいので,その場で書き込む.
Mon Feb 10, 2003
- 2/14 の専攻会議用の資料を副査 H 先生にメールで送る.
PowerPoint 6 ページ.
1 ページめには,全体の概略を書いて,
2 〜 6 ページに 2 〜 6 章の内容をそれぞれ 1 ページにまとめて書く.
どうせ細かい話は書けないので,実物またはコンセプト図を載せて,
あとは「審査結果の要旨」の文章を箇条書的に書き並べる,
といった形にしてみた.
Wed Feb 12, 2003
- 副査 H 先生から専攻会議資料の修正指示:
- タイトルのスライドを 1 枚欲しい
- バックグラウンドを説明するスライドが 1 枚欲しい
- まとめ(貢献が一覧になっているもの)のスライドが 1 枚欲しい
- (特に前半に関して)従来は何がダメで,
それに対してどのような貢献をしたのかをはっきりさせて欲しい
- 第 4 章の成果を強調したいので,スライドをもう 1 枚追加して欲しい
うむむ,結構枚数が多くて,しかも字の細かいスライドになりそうだ.
Thu Feb 13, 2003
- 昼まで家で寝ていると(ぉ,
指導教官 I 先生の秘書さんから電話がかかって来た.
至急 I 先生に連絡しろとのこと.で電話してみると,
「審査結果の要旨」を電子媒体で送って来いとのこと.
ああ,やっぱり.その場でメール送信.
- で,いろいろ確認を取る必要があるから(?),
すぐに学校に来いと言われる.
正確には,12:45 〜 13:00 の間に居室にいろと言われる.
そのとき時刻は 12:10.すぐに家を出て,12:45 ちょうど頃に大学に着く.
のだが,結局お呼びはかからなかった.はて?
- さておき(ぉ,ようやく専攻会議資料を修正して副査 H 先生に送る.
結局スライドは全 10 枚になる.しかも字がかなりぎっしり.
もしかすると,全部スライドには詰め込まずに,
先生用の説明文みたいのを別に添付した方がよかったのかも知れない,
とか思ったけど,
せっかく書いたしもったいないので(ぉ,そのまま送ってしまう.
Fri Feb 14, 2003
- さて,製本用の最終原稿の提出日.
- 本当は図の追加とかしようと思ってたんだけど,
すっかりあきらめてしまって,昼前くらいから,
序論から順に,てにをはチェックをかける.(← もっと前にやっとけ)
- で,だんだん時間がなくなって来て,後半はいい加減になる.
15:30 くらいに投げ出す(ぉ.
- 教務室に行って,中性紙をもらってくる.
- さてここからが意外と大変.
なぜだかよくわからないのだが,
プリントが途中で終了してしまう現象が頻発.
エラーが起きるのではなく,途中なのにふつーに正常終了してしまう.
原因不明.
- 止まること自体に関しては,
止まったページから印刷し直してやればよいだけの話なのだが,
面倒なのは,
ネットワークプリンタだからジョブの排他制御ができない点にある.
止まった瞬間に他の人がプリントジョブを突っ込んで来てしまうのだ
(一応メールでアナウンスしてあるんだけど,結構みんな読んでないようだ).
つまり何が起こるかと言うと,
他の人がしれっとウェブページなんかをプリントしたやつが,
分厚いぴしっとした中性紙に印刷されてしまうわけで,
それは別に困らないんだけど,
D論用の分が足りなくなってしまうわけで,これはとても困る:-)
というわけで結局,
教務室まで 2 回くらい走る羽目になったりしたのだった.ぐはー.
Unix からも,手差しトレイを選択できるような仕組み作っとかないとだめかも.
- そんなこんなで,中性紙にプリントした完成論文 2 部と,
普通紙にプリントした予備論文 1 部を印刷完了.
バインダーは,
12/26 に戻って来たものの他に 2 つを教務室で中性紙と一緒にもらうので,
これに挟む.
- 一緒に,背表紙のタイトル用の薄黄色い短冊を渡される.
どうやら,完成論文 2 部はこの短冊を使って欲しいらしい
(見てすぐわかるように).
というわけで,テプラで透明テープに打ち出して,短冊に貼る.
予備論文の方は,12/13 の提出で使った短冊をそのまま使った.
- 出来上がったバインダーを,
教務室に持って行って Y さんに渡して,おしまい.
ちなみにお約束通り「先生には見てもらってますよね?」と聞かれるので,
何も言わずににっこり笑って曖昧にうなずいておく.
- ちなみに全 118 ページ
(タイトル・目次を除いて 110 ページ.本審査からページ増減なし).
両面印刷.
- 専攻会議はどうだったんだろう…,まあ,知らぬが仏か.
何も言われないってことは通ったに違いない.
Tue Feb 18, 2003
Thu Feb 27, 2003
- 別件で教務室に行ったときに,Y さんに成績について聞かれる.
今学期は,保険のためにいっぱい履修登録していたわけだが,
当然ひとつも出てないわけで,
全部が未受験になっているのを見て Y さんはびびってしまったらしい.
で,事情をそのまま説明する.
Yさん「あー,いざとなったら泣きつこうと思ってたってことですね.
すごいなー.あくどいなー.いや,賢いのかな…」
しくしく…
Fri Mar 7, 2003
Wed Mar 12, 2003
- 先に送られて来た日程表によると,
「学位論文審査ならびに学位授否決定 (工学系研究科委員会)」
とかいう何やら重要そうな日なのだが,私の身には何も起こらなかった.
前日に I 先生に「何があるんですか?」と聞いてみたが,
さっくり「知らない」と言われる.
指導教官にも関係のない行事のようである.
まあ何も言われないってことは通ったに違いない.
Fri Mar 28, 2003
- というわけで,学位記授与式当日.
- 大学全体の方は,出てないので知らない.
聞いたところによると,式服を着ている人が 2 割くらいいたらしい.
- 14:00 から,
計数工学/数理情報学/システム情報学 合同の学位記伝達式.
博士と修士が一緒に行われる.私服のままふらっと行ってみたのだが,
他は全員がスーツとか着物とか着てて,
しかも座席が一番前だったりして,
非常にアレだったのは秘密.非常識ですみません….
- その後,6 号館玄関前で記念撮影.ちなみに 1 枚 800 円である.
親から「写真くらい送って来い」と言われていたので購入しておく.
- 中会議室で書類を受け取る.書類というのは,
学位授与証明書,成績証明書が各 1 枚ずつ.
その他に,修了者名簿の配布案内と,製本用最終提出のときに出していた
「予備の論文」(らしきもの)が入っていた.
- どうでもいいのだが,
学位授与証明書の日本語が微妙に変なのが気になる.
「上記の者は次のとおり本研究科の博士課程を修了し,
学位を授与をされたことを証明する」
いいのか? こんなんで.
- 原則としては,
この書類受渡しのとき学生証や入館用ゲートカードも返却するのだが,
まだ大学に来るので 3/31 に教務室に返しに行きますと伝える.
- というわけで,無事修了ってことでいいんですかね?
各提出物等の〆切は,判明している範囲でだいたい以下のようになると思われる.
いわゆる
真の〆切的には,さらに冒険できるものもあるかも知れませんけど.日付
はもちろん私の場合.
何を? | いつ? | どの程度?
|
---|
論文審査委員の決定 | 9/20(金).
だったのだけど,多分次の月曜とかに出したんじゃないかな?
| これは完全確定でしょう.
一応予備審査後に変更のチャンスがあるが,
そんな恐れ多いこと普通できませんて.
(先生の側の都合というのはあるのかも知れませんが)
|
D論のネタ
| 予備審査当日(11/6)
| 落とされない程度
|
本審査当日(1/21) | 落とされない程度
|
論文題目
| 正式提出日の直前(12/12)
| この時点で確定のはず.もう変更のチャンスはないんじゃないかな.
|
論文表紙
| 正式提出日(12/13).この時点で中性紙への印刷を指示される
| だと思ってたんだけど,製本提出のときにすり替えても問題なさそう.
まあタイトルとか氏名とかを変えられるわけじゃないし,
正式提出日に出さないわけにはいかないので,
実質的にはこれが真の〆切と思ってよかろう.
あまりドラスティックにデザインが変わったりすると,
何か言われるかも知れないし.言われないかも.
|
履歴書・論文目録
| 正式提出日(12/13)
| 一応,1月末に修正のチャンスはあるようだが?
|
論文本体
| 予備審査用: 予備審査(11/6) - X 日,X = 7 が標準らしい
| 落とされない程度.
出さずに逃げ切る(当日に発表資料を配るだけ)人もいるようなので,
真の〆切ではないかも.
|
教務提出用: 正式提出日(12/13)
| 結局そのまま返って来るので,出しさえすればよいようだ.
|
本審査用: 本審査(1/21) - X 日.
X = 7 が標準らしいが.X = 5 でも大丈夫だった(経験談).
もちろん先生によるのだろう.
| 落とされない程度.
|
製本用: 一括製本の〆切日(2/14).
(もしかするとこれをミスしても,自分で特急製本すればリカバーできるかも?)
| あとあと後悔しない程度.
|
論文要旨
| 1 月末日
| ウェブ
に載っても恥ずかしくない程度.
|
審査結果の要旨
| 指導教官の提出期限が専攻会議直前(2/13).
だからそれより前のどこかで草稿を渡すことになるはず.
| 指導教官に「ちゃんと書けよなー」とか小言を言われない程度(ぉ
|
単位移行手続き
| 2月上旬.(移行が必要な人)
| 一応,この時点で確定のはず.
(希望した単位が認められなかったりした場合は,
どこかでリカバーできるんだろうか?)
|
ちなみに,毎度ばかばかしいTM 論文本体のページ数のお話ですが,
一応 100 ページ程度が標準とされているらしい.でも 30 ページ未満(!)で本
審査通ってる強者もいるので,まあページ数なんてどうでもいいということのよ
うです.審査でのプレゼンテーションが肝というわけですね.
書き始めてからのページ数(表紙・目次除く)の推移.あまりこまめに cvs
commit してないので大雑把にしか分からないですが:
日付 | 状況
|
---|
10/4 | 空っぽ
|
10/8 | 投稿論文とか予稿とかレジュメとかをぺたぺた貼ってみ
る.30 ページくらいにしかならなくて愕然とする
|
10/18 | 55 ページ
|
10/26 | 75 ページ
|
10/30 | 予備審査用に先生方に配布した版.103 ページ
|
12/13 | 教務室に提出した版.108 ページ
|
1/16 | 本審査用に先生方に配布した版.110 ページ
|
2/14 | 最終提出(製本用)版.110 ページ (増えてないし)
|
ちなみにグラフ化するとこんな感じになります:-)
最初に勾配が急なのは,各種元ネタからの copy and paste がメインなため.
その後は割と一定のペースなのだが,
予備審査直前にスパートがかかっているのがよくわかる.
Earliest Deadline First スケジューラというやつはこれだから(ぉ.
そして,予備審査後すっかりやる気がなくなっちゃってるのもよくわかる(激ぉ.
いいのかこんなグラフ見せちゃって.
学業のことの他に,やはり皆さん(特にこれから進学を考えている人は)気に
なるのが経済的なことだと思います.この辺りの話は,どんどん状況が変わり
つつあるところなので,書いてる端から内容が古くなっていく恐れがあるので
すが,とりあえず私自身や周囲の状況について見聞きした範囲で書きます.
話は大きく,「いかに収入を得るか」「いかに支出を減らすか」に分けられる
わけです.
収入源
ざっと次のような感じになるでしょうか.
- 育英会奨学金
- その他の奨学金
- 学内のアルバイト
- その他のアルバイト
- 原稿料・講演料
- 日本学術振興会 特別研究員
育英会奨学金
とりあえずこの辺参照.
私のときで,博士課程の第一種奨学金(無利子)は,月額 117,000 円でした.
よく知られている通り,研究・教育職に一定期間就けば返済が免除される制度が
あります.これを借りられて,あとは後述するアルバイトをいろいろと頑張れば,
とりあえず生活して行ける経済状態は作り出せました.
当時の状況としては,私の周囲では,希望すればだいたいの人がもらえる
ものである,と認識されていました(と,さらっと言ってしまいますが,全国
的な平均から見ると,これはかなり恵まれた環境であったと思います).
これは状況が変わりつつあるものの代表格かも知れません.最近では第一
種は年々採用されにくくなってきて,「きぼう21プラン」と名前を変えた第二
種奨学金(有利子)を借りざるを得ない状況が増えてきていると聞いています.
私の場合は修士課程の 2 年間と D1〜D2 の 2 年間,第一種奨学金を受け取っ
ていました.
その他の奨学金
育英会以外にも奨学金を支給してくれる団体はいろいろあるようです.
もちろん条件の良いところは倍率も厳しいでしょう.
私自身はもらっていないのでよく知りません.
学内のアルバイト
主なものとして,ティーチング・アシスタント(TA)と呼ばれるものと,リサーチ・
アシスタント(RA)と呼ばれるものがあります.TA は,(主に学部の)実験や演習
などの補助をするものです.RA は,何らかの研究プロジェクトにおける研究活
動の補助をするものです.形としては,東京大学の非常勤職員というものになる
ようです.違う雇用形態のものや違う呼び方のものもあるようですが,
よく知りません.
どちらも時給制で,私のときは 1,200 円/時間 でした.と書くとどっちも変わ
らないように聞こえますが,実は大違いだったりします.早い話が,最終的に得
られる額がぜんぜん違います.
TA の方は,ある特定の実験なり演習なりのコマを担当することになりますので,
せいぜい月に 10 〜 20 時間が限界です.
それに対して RA は,例えば週に 20 時間まで,といった勤務条件になっていて,
授業のない時間等をやりくりして,勤務時間を設定するといった形になります.
その月のスケジュールによって(例えば出張中とかは当然勤務できないので)増減
しますが,月に 60 〜 80 時間とかは働くことができます.
職務の内容にしても,TA の職務というのは,たいてい自分の研究とは何の関係
もないわけで,しかも準備やら企画・立案やらレポートのチェックやらで,時間
外の労働がどうしても多くなりがちです.一方,RA の方は,もちろん仕事は TA
以上にいろいろふってくるわけですが,通常は自分の研究に少なくとも間接的に
は役立つ内容だったりすることが多かったりします(ぶっちゃけ,雇用されてな
くても誰かがやらなきゃならない仕事だったりするわけで).
結果として,RA の方がお買い得感は強いというのが私の印象です.まあ個人的
印象ですし,たまたま私の当たった仕事がそうだっただけとも言えます.
さて,このような TA や RA になるにはどうしたらよいのか…ですが,はっきり
言ってよくわかりません.TA とかだと,突然「やってくれ」と言われます.諸
般の事情により断れない場合が多いです:-) RA の場合は,指導教官に希望を伝
えておいて採用を申請してもらったりする(らしい)のですが,落ちる場合もあり
ます(はい,落ちたことあります).それ以前に,RA を雇えるようなプロジェク
トを研究室が抱えてないとダメとかなのかも知れない.
そんなこんなで,私も D1〜D2 の間は TA や RA を断続的にやらせてもらってい
ました.収入は一定しませんが,2 年間分を 24 で割ると,だいたい月に数万円
もらっていた計算になります.
最近の動向としては,研究費で大学院生を雇うことは,だんだんやりやすい方向
に向かいつつあると聞いています.なので,今後は大学院生の収入源としては,
より一般的なものになっていくのではないかと予想します.
その他のアルバイト
これはまあ人それぞれでしょう.
私の場合は,幸いにもいろいろと声をかけて頂いて,それなりに大きな収入源と
なっていました.実際,日本学術振興会の特別研究員(後述)に採用された D3 の
ときより,アルバイトしていた D1〜D2 の頃の方が,(奨学金も含めた,見かけ
の) 収入は多かったくらいでした.お仕事を下さった関係各位に感謝します.
原稿料・講演料
この辺は…どうなんでしょう.レギュラーの仕事(連載とか)を持っている人は一
定の収入としてカウントできるのでしょう.私の場合は,ごくまれに入って来る
臨時収入といった感じでした.
日本学術振興会 特別研究員
とりあえず
この辺参照.
博士課程の大学院生が,その本分である研究活動に対して,
まとまった額の給与を受け取ることのできる唯一の手段がこれでしょう
(RA の類は,少なくとも建前上,学位のための研究活動は職務になり得ない).
採用されると,研究奨励金として,
月額 205,000 円(平成14年度の場合)が支給されます.
これは税法上は給与であって,課税対象です.
所得税は源泉徴収されます.
それ以外の地方税や社会保険等は自分で払いに行くことになります.
その他に,科学研究費補助金(年額 150 万円以内)が支給されます.所属する研
究室が予算を潤沢に使えるところであれば,さほど嬉しくはないかも知れません
が,そうでない場合は有難い制度と言えます.
なお採用された場合,育英会奨学金は辞退することになります.アルバイトも一
切禁止されます.これは結構痛い.人によっては,かえって実質的な収入が減る
場合もあるでしょう(はい,減りました).とはいえ,自分の研究活動に専念でき
て,かつそれに対して収入を得られるという事実には,収入の減少分以上の価値
を認めることもできると思います.
さて,この特別研究員には,任期が 3 年の DC1 と呼ばれる資格と,任期が 2
年の DC2 と呼ばれる資格があります(他に,博士課程修了者用のものもあります
が,ここでは除外します).DC1 は,D1〜D3 の 3 年間を対象とした
もので,これに採用されれば,博士課程の 3 年間すべてを特別研究員として過
ごすことができます.一方 DC2 は,基本的に D2〜D3 の 2 年間を対象としたも
のになります.ただし D3 から採用されるというケースもあります.
応募は,それぞれ採用時期のおよそ 1 年前になります.つまり DC1 に応募する
ときは,M2 の頭(5月くらい)に申請書類を提出します.採否が決まるのは,その
年の年末です.つ ま り,「学振に採用されるなら博士
課程に行こう,ダメなら就職しちゃえ」という計画は,スケジュール的に難しい
ということになります.(不可能ではないです.院試を受けて通っておいて,学
振がダメだったら入/進学を辞退して,学科推薦とかを使わずに自力で就職活動
すればよい.学科推薦との両立は無理ですね.院試との二股は学科が許さないは
ずなので)
申請する場合,4 月くらいに一度,申請書類のうちの事務的な部分のみを提出し
ます.これには学歴とか,現在および採用後の研究指導者とか,研究テーマ名と
かを書きます.具体的な研究計画はまだ書きません.これを大学側がチェックし
て,不備があれば赤が入って返って来ます.(申請書類の不備があまりにも多い
ため,学振側が大学に事前チェックを要求しているらしい)
この事前チェックは,最近は行われなくなったようです.
本番の申請書は,5 月頃に提出します.申請書の他に,指導教官の推薦書が必要
です.申請書には,4 月に出した事務的な内容(2ページ)に加えて
「現在までの研究とその成果」(1ページ)
「研究計画(目的/内容/年次計画/特色)」(3ページ)
「業績一覧」(2ページ)
「主要な論文の要旨」(2ページ)
などを書きます.全部で A4 10 ページくらい.
一般には,DC1 に採用されるには,申請時に主著の論文が 1 報以上,採録が決
定していることが必要と言われているようです.つまり M1 のうちに査読をパス
しておくことが必要という計算になります.もっとも,論文がなくても通ってい
る人とか,あっても通らない人とかもいるようなので,絶対的な基準ではないよ
うですが.
選考結果は,10 月頃に通知されます.パスした場合,第二次選考(面接)に進み
ます.ただし面接が免除になる場合もあって,その場合はここで採用が確定しま
す.面接は,10 分くらいのポスター発表形式で行われるようです.ちなみに
DC1 の場合は面接免除はあり得ないようです.最終的な選考結果は年末(あるい
は年始?)に通知されます.
私は,M2 のときに DC1 に応募して,書類選考で落ちました.
論文も主著のものはなかったし,
研究計画もヘタレていたので当然の結果でしょう(ぉ.
D1 のときは,受かる気がしなかったので,応募しませんでした.
D2 のときは,やはり受かる気はしなかったのですが,
学位取得に向けて研究計画を整理するいい機会だと考えて
(なにしろ〆切がないと作業ができないダメ人間なので),
通ったら儲けものくらいの勢いで応募しました.
結果的には,幸いにも面接免除で採用になり,
D3 の 1 年間を特別研究員として暮らしました.
そのときの手続き関係などのメモを,
番外編として別ページにつっこんでおきます.
学振特別研究員の採用選考に関しては,
「有名大学だと有利」とか「研究指導者が有名だと有利」
とかいうあやしい噂がいろいろと聞こえて来ます.
で,実際どうなのかというと,
私が採用になったってことは,
実際にそういう要素はあるのではないかと正直言って思います.
実力で採用になる程の業績ではなかったはずなので.
支出を減らす
お金の節約のノウハウをここで書く気はないので:-) それはどこか別のところで
学んで下さい.あ,どうしても知りたいですか? じゃあ一つだけ.お腹がすいた
ときは,歯をみがくと結構我慢できます.(← お前そんなことしてると死ぬぞ)
さておき,ここで書くのは「授業料免除」についてです.
博士課程の学生は授業なんてほとんど出ないとはいえ,一応学生なため授業料を
納める必要があります.額は
入学年度によって違います が,私のとき(平成10年度に大学院入学)で,
半期 234,600 でした.私大等に比べると恵まれているのでしょうが,それでも
月に 4 万円支払う計算になりますので,結構大きいです.
学部・修士課程までは,授業料免除者の選考は親の収入に基づいてなされます.
しかし,博士課程の場合は,
- 親と同居していなくて,
- 独立家計を営んでいると認められれば,
親とは無関係に,本人のみの収入(結婚している人は,本人と配偶者の収入かな?)
に基づいて選考してもらうことができます.
で,この条件が意外と厄介なわけです.前者(別居)は住所等からすぐに分かりま
すので何の問題もありません.面倒なのは後者(独立家計)です.独立家計である
と認められるためには,以下の 2 つを客観的に示すものを提出する必要があり
ます.
- 親の扶養を外れていること (税金とか社会保険とかを自分で払っている.
本人の所得証明が発行される)
- 生活していくのに十分な収入があること
そうなんです.つまり収入が少なすぎると,もっと正確にいうと,収入が少なす
ぎないことが客観的に証明できないと,授業料は免除されないんです.もうね,
アホかと.馬鹿かと.
だいたいがですね,普通の大学院生の場合,定収入がある人間の方が珍くて,不
定期のアルバイトとかで食いつないでる方が多数派だと思うわけですよ(違う?).
例えば,RA の給料で食って行こうと画策していても,前期の授業料免除を申請
する時点(4月頭)には,採用が決まっていませんから,それを客観的に示すもの
は何もないわけです.
この点に関するバトルは,書類を提出する学生部厚生課の窓口で行われます.つまり,
授業料免除を申請する資格があることを窓口担当者に認めさせて,書類を受理し
てもらわないことには,選考の対象にすらならないわけです.これが結構大変で,
押し問答になっちゃったりするわけです.しかも皆がそれをやるから,窓口の前
には長蛇の列ができちゃったりするわけです.ぐはー.
免除の選考は半期ごとに行われます.前期分は 4 月の頭,後期分は 10 月の頭
に書類を提出します.だいたいその 2〜3ヵ月くらい前から(?),用紙が配布され
始めます.
どういうわけか分かりませんが,独立家計の場合でも,前年の親の収入を申告す
る必要があります.このとき,所得証明書を提出することが要求されています.
でも前期分の場合は,申請時(4 月頭)に取得できる最新の所得証明書には,まだ
前年の収入は反映されていません.だから源泉徴収票のコピーを出すことになり
ます.だったら所得証明書なんか要らないじゃん,とか思うんですけどね.もめ
るのが面倒なので,前/後期とも,所得証明書と源泉徴収票のコピーの両方を出
してましたけど.
親の扶養でないことの証明としては,前年以前から独立家計であれば,保険証と
か所得証明書とかで明らかにできると思います.厄介なのは,修士課程までは親
の扶養になっていて,D1 の前期分を申請するときだと思いますが,親が自分を
扶養家族から外す旨を会社に申請した書類のコピーを出したら受理してもらえま
した.
自分の収入に関しては,雇用先からの証明書みたいのを出してもらうのが基本と
なります.前述したように RA とかで採用が決まってない場合は困っちゃうわけ
で,窓口でもめちゃったりするわけですが(はい,もめました),前年の源泉徴収
票とかを出して「前年度の実績を元にした見込み額である」みたいな形で受理し
たもらったことがあります.そういう手もあるということで.
あとは,「独立家計調書」とかいう,月ごとの収入と支出の内訳を書いて提出す
るものがあります.めんどくせー.まあこの辺は一度書いてみれば,二回目以降
は機械的に生成できると思いますが.(だから,提出した書類はコピーを取って
おくのが重要)
とかいうような必要書類を揃えて,学生部厚生課(安田講堂の下)に出しに行きます.
〆切間際になると常に長蛇の列になっているので,ある程度の時間がつぶれること
は覚悟しましょう.だいたい 1 人当たり数分から,人によっては 10 分以上か
かっています.最近は並列処理されるようになっているのでだいぶ改善されてい
る気がしますが.
書類を提出すると,窓口担当者がその場でチェックします.バトルの開始です(ぉ.
ここが頑張りどころです.ちなみに,学振の研究員に採用されてからは,極めて
あっさりと受理してもらえるようになりました.まあ明らかに定収入ですから,
もめる要素がないってことなんですけど.
なお,書類に不足があったりした場合でも,それだけで不受理になることはなく
て,後日持って来るように言われることが多いです.つまり〆切日までにすべて
の書類が揃わなくても,揃っている分の書類だけ一旦提出しておけば,不足分は
しばらく待ってもらうことが可能な場合があります(ただし,それが申請資格の
根幹に関わるようなものだとダメかも).ダメもとで出してみるべし.
選考結果には二段階あって,学内での審査で決まる場合と,学内審査では「保留」
とされて,文部科学省で審査される場合があります.最終的な結果には,「全額
免除」「半額免除」「免除なし」の 3 種類があります.で,結果が確定する頃
には,既に次の半期の免除申請の季節となっています.息をつく暇もありません:-)
最近の動向として,選考はだんだん厳しくなってきているようです.私の場合は,
D1 前期 | 全額免除
|
D1 後期 | 全額免除
|
D2 前期 | 半額免除
|
D2 後期 | 申請し忘れて(!),全額納入
|
D3 前期 | 半額免除
|
D3 後期 | 半額免除
|
とかいう感じで,結局 3 年間分のうち半分くらいは払ってしまった計算になり
ます.周囲の話を聞く限り,それでもまだ半額免除されているのは恵まれている
方なようです.ていうか申請し忘れてんじゃねーよ,というつっこみが入って来
そうですが,いやーこれ意外と忘れやすいんですよ.後期の場合,掲示は次のよ
うな感じで出ます:
「平成13年度10月入学者入学料免除及び後期授業料免除・徴収執行猶予の出願について」
ぼーっとしていると,「えーと,10 月入学者だから,俺には関係ねーや」とか
思って読み流してしまう罠.まあ時期的にそろそろかなとか気づけよって話もあ
るのですが,なんか忙しいとうっかり〆切過ぎてしまったりしちゃいがちなんで
す.4 月と違って,10 月って特に何かが変わるわけでもなかったりするので.
いやほんとに.注意されたし.
- 論文本体を書いてて思ったこと:
とりあえず最近した仕事っていうのは書くのにそれほど苦労しません.
てのは D 論としてのストーリがある程度見えてから
書いた文章がもとになっていることが多いから.
問題は D1 の頃とかの仕事で,
これを D 論全体のストーリの中で
どう位置付けるかという作業が必要になります.
たいてい当時書いた文章というのは
(メインの論旨は変わらないが,そこに至る論理展開が)
微妙にずれていたりするので,
結局大幅書き直しとかになってとても大変.
要するに,
「うおー,俺,昔と言ってること違ってんじゃん!」
てなことになりがちです.
もっとも,D1 の頃から博士論文の全体像が見えていて,
そのゴールに向かって着実に歩んで来た人なら何の問題もないんでしょうが,
普通なかなかそうもいかないわけで.
じゃあどうしたらよいのか? というと,まあどうしようもないわけで,
苦労する分を見越して早めに論文本体を書き始めとけ,ってことですかね.
- 学位取得のための業績数については,
世間一般で言われる論文 3 本とか,
そういう明文化された規定はうちにはないようです
(話を聞く限り,東大の情報系は規定がないのが主流のようです).
ボスから聞いた話を総合するに,
内容的に,
そういう(論文 3 本とかの)程度の業績に値するかが判断されるのであって,
実際に出版済かどうかが問われるわけではない,
とそういうことのようです.
とはいえ,業績があった方がよいのは言うまでもないし,
全くないというのは精神的にもかなり不安なはず.
ちなみに私の場合は,
予備審査の時点で論文 1,国際会議 1,査読待ちの論文が 1
(その後採録になって,最終的には論文 2,国際会議 1)
という状況でした.
んで,こういう風に寂しい状況の場合,
「もうちょっと出しといた方がいいんじゃないかなー」
とか思って,
ついつい D3 のうちに発表できる国際会議とかに submit したくなるんだけど,
多分出してたら(なんせ審査スケジュールとかぶりまくるので)
多忙でパニックになってた気がします.
止めてくれた先輩 K さんに感謝.
- 下の References に挙げたサイト等からたどって行くと,
他の大学の話をいろいろと見ることができます.
で,比較するに,やっぱうちは
(というか,見聞きする限り,どうやら東大は全般的に)
「ぬるい」みたいです.
だから題名に「長い道」とか書くのもおこがましい気はするんですけど,
まあお約束ですから.
[up]
Shingo W. Kagami:
swk _at_ kagami.org