PDの採用率が減る一方で、DCの採用率は増えている。過去3年間の推移は以下のとおりである。
DC1:14%→18%→24%
DC2:12%→12%→17%
DC1とDC2のどちらかで採用される率:24%→28%→37%
そうだったのか.知らなかった.博士課程に行くなら無理をしてでも応募した方がいいということですね.(見てますか? ○○君)
そこで、当面は、学振以外のポスドク職の数が変わらないと仮定し、常勤研究職・非常勤研究職のポスト発生数も変わらないと仮定して、H16採用DC1(437人)とH17採用DC2(835 人)、計1272人がH18年度終了時点で迎える運命を予想してみた。その結果、常勤研究職・非常勤研究職のポストにも、ポスドクのポストにもつけない人の割合は、H15年度終了時の27%(153人)から68%(863人)に増えると予想される。
約7割の終了者が、路頭に迷うことになる。
この分析はどうなんだろう.計算の根拠が正確にはわからないけど,H15年度の DC 終了者が 153 / 0.27 ≒ 567 [人] で,そのうち研究ポストについたのが 567 - 153 = 414 [人],これを H18 の DC 終了予定者 1272 人から引いて 858 [人],という計算なのではないかと想像する.5 人分の誤差は「27%」が概数だからだろう.
(んー? でもこの計算には学振 PD 採用数減の要素が入ってないから,もっと別の計算をしているのでしょうか)
(追記: ほぼこの通りだったようです.H15 DC 終了者の正確な数は 567 人
→ 562 人だそうです)
以上の推測が正しければ,この分析は実は「学振以外のポスドク職の数が変わらないと仮定し、常勤研究職・非常勤研究職のポスト発生数も変わらないと仮定して」行われたものではなく,研究職ポストに採用される DC 終了者の絶対数 (≒ 414 [人]) が変わらないと仮定したものだと言える.しかし,学振出身者が研究職への就職に強いという引用元前半の話や,DC 採用率が増えている (= DC じゃない学生の率が減っている; 応募率がやたらと減ってなければだけど) という話などを考えると,この仮定は根拠が薄い.
個人的感覚としては,DC 終了者の研究職就職率が下がりそう,という傾向分析については (ポスト数減 + DC 採用率増からの自然な帰結として) 概ね同意できますが,7 割という数字はちょっと無理がある気がします.まあ蓋開けてみないと分からないですが.
あと蛇足ですが,ここでいう「路頭に迷う」の中には研究職以外に就職する人も含まれてますので,表現が強すぎます.もっとも研究者養成政策の是非を論ずる以上,研究職以外に就職する人数を失策と数えること自体は間違ってないと思いますが.
蛇足その2: 学振の終了時アンケートの分類ってわりと曖昧だった記憶があるんだけど,ちゃんと正しい統計取れているのかなあとちょっと不安.たとえば今回の話に出てきた中だけでも,常勤研究者,非常勤研究者,ポスドクって分類で研究職全体を網羅的かつ排他的に扱えているのかかなり疑問.つうか自分のときは常勤とポスドクの両方に丸をつけたような記憶が(汗
(追記1)
学振の終了時アンケートそんなのあったっけ?と思うほど印象が薄い(汗
http://miyabi-phd.lolipop.jp/diary/2006-06-12.html#2006-06-12-1
すみません,当時の資料を確認したら,アンケートじゃなくて,辞退願の辞退理由欄でした.
(追記2) yahara 先生から詳しい解説を頂きました.ありがとうございます.
というswk’s logさんのご指摘は、もっともである。私も仮定の根拠がさほど強いものだとは思わないが、研究職ポストにすぐに採用される DC 終了者数がそれほど増えるとは思えない。
はい,上にも書いたとおり「DC 終了者の研究職就職率が下がりそう」という傾向予測については,私もおそらくその通りだと思います.ただ「約7割の終了者が、路頭に迷う」という数字があまりに衝撃的だったので,その根拠を自分なりに考え直してみたのがこの記事でした.
最終更新時間: 2009-01-04 15:31